兵庫県姫路市の閑静な住宅地に建つ若い夫婦と幼い子供の家。
敷地は3方が開けている大変条件のよい立地ではあるのだが、反対にプライバシーの確保が難しいことが予想できた。昼間は仕事で家をあけることもあり、適度に閉じつつも明るく、のびのびできる空間を求められた。
建物は白色の2層の居室のボリュームを、黒の波板で仕上げられたコートや水回りといった機能的な空間が囲むような形で取り付き、採光や通風を確保しながら周りの視線をカットしプライバシーを守っている。外観はシンボリックな様相で閉じたイメージを抱かせつつも、一歩中に入ると、明るく広がりのある空間が訪問者の驚きを誘う。
クライアントの好みを反映した白と黒を基調とした洗練されたミニマルな空間でありながら、畳コーナーや二つのコートが安らぎと遊び心を与えている。
2階は寝室のみの配置に対し、1階はキッチンを中枢に設けて家事動線を集中させ、合理化させることで家事のしやすいつくりになっている。共働きで家事や子育ての時間が削られがちな現代において、子供の成長を見守りながら家族で家事を楽しみ、自分の時間もしっかりと確保できる温かなすまいが完成した。